居酒屋などの飲食店で予約をするとき、コース料理付きでの予約と、席のみの予約があるのをご存知でしょうか。コース料理の予約はキャンセル料がかかるというのは広く知られていますが、実は席のみの予約でもキャンセル料が発生することがあります。
しかし席のみの予約キャンセル料に関しては、あまり知られていないこともありドタキャンやノーショー(無断キャンセル)を行ってしまい、飲食店側とキャンセル料でトラブルになることがあります。
今回は席のみの予約でキャンセル料は発生するのかや、席のみのキャンセル料について、そしてなぜキャンセル料が必要なのかといったことについてお話してきます。
目次
席の予約だけでもキャンセル料は発生する
居酒屋の予約を入れる場合、コース料理で食べたいものがないために、席だけを予約して好きな料理を頼むケースがあります。比較的予約人数の多い居酒屋などでは、ドタキャンや当日キャンセルの場合、席だけの予約でもキャンセル料が発生したり、サービス制限が付けられてしまう場合もあります。
【席だけの予約でキャンセル料を請求された事例】
山田さんは職場の同僚との飲み会の幹事になり、6名で居酒屋に予約サイトから金曜の19時に予約を入れました。この予約サイトでは、以下のような注意が記載されてありました。
- 予約後のキャンセルはキャンセル料が発生する場合がある
- 予約キャンセルの場合は、サービスの利用を制限する場合がある
- キャンセル料などについては、掲載店舗に問い合わせ
予約日の2日ほど前から、プロジェクトの作業が追い付かず、飲み会を延期することになったのですが、山田さんはキャンセルするのを忘れていました。
すると予約時間2時間前に居酒屋から連絡が入り、慌ててキャンセルを伝えると、お客さんの多い金曜の当日キャンセルはキャンセル料を払って欲しいと言われ、1人3,500円の予約で、キャンセル料として3万円請求されたそうです。
山田さんは同僚に事情を話し、全員からキャンセル料を回収し、後日居酒屋にキャンセル料を支払いました。
基本的に「予約=契約成立」ということなので、予約が成立した時点でキャンセルした場合にはキャンセル料を支払う義務が発生します。ただしキャンセル料に関しては、飲食店側だけの一方的な意思ではなく、飲食店とお客さん双方が合意した特約にならなければ、支払い義務が発生しないこともあります。
内容によりキャンセル料は変わる?
居酒屋などの飲食店は、予約日の数日前から料理の材料の仕入れを手配します。そのため当日キャンセルと1週間前のキャンセル、少人数と団体での予約でのキャンセル料が変わることがあります。
当日キャンセルした場合
予約3日前くらいまでなら、キャンセル料を取らない居酒屋が多いです。これは材料の仕入れや仕込み開始前なので、キャンセルされても飲食店側にあまり損害がないからです。予約当日にキャンセルされてしまうと、その予約で得ることのできた利益が失われてしまうため、最大限のキャンセル料を請求される可能性が高いです。
団体でキャンセルした場合
宴会や歓送迎会でよく利用される居酒屋で予約人数が多い場合は、当日キャンセルとなると材料費なども金額が大きくなるため、席だけの予約でもキャンセル料の請求をきっちり行う店舗が多い傾向にあります。キャンセル料は1人当たりの金額を算出し、人数分きっちり請求されるのが普通です。
ノーショー対策により規定厳重化へ
ノーショー(No Show)とは、飲食店などの予約を当日無断キャンセルするお客さんの行為のことで、キャンセル料の回収もできないことを指します。ノーショーされることで、店舗は予約で得ることのできるはずだった利益を得ることができず、損失だけが残ります。
酷い場合は50人規模の予約を立て続けにノーショーされ、お店の損害が多額になってしまい閉店に追い込まれることもあります。飲食業界全体で年間約2,000億円の損害が出ているといわれており、国も経済問題として対策に乗り出しノーショー対策レポートが発表されています。
このノーショー対策レポートでは、飲食店経営者向けにノーショーされた場合の損害について、キャンセル料の算出方法などについて具体的に記載されています。今後も国や民間組織などが一体となって、ノーショー対策に力を入れる方向で話が進んでいるので、キャンセル料の請求が今までよりもシビアになる可能性が高くなると考えることができるでしょう。
キャンセル料はなぜ必要か
お客としての立場からすれば、飲食店が予約をキャンセルされることで、一体どんな損害があるのかは見えにくいためあまり気いしていないという人もいるかもしれません。お店側は当日予約をキャンセルされると当日利益を得ることができず、コースの場合は以下のような損害を受けます。
- 料理に使用する原材料費(他の料理に転用できるものは除く)
- 仕込みの終わった料理や食材の廃棄費用
- 仕込みなどの人件費
- 調理・個室などの管理のための水道光熱費
席のみの場合、料理の仕込みや廃棄料はありませんが、キャンセル料されることで発生する損害内容はほぼ同じです。ただ席だけの予約の場合は、料理の原材料や人件費などを具体的に算出することが難しいため、キャンセル料は客観的な基準で平均客単価の何割かを請求することが多いです。
お客さん側からきちんと連絡を受けてキャンセルになり、キャンセル料を受け取っても100%損害額を回収することは難しいですが、店舗側の損害を最小限に抑えることができます。
もしもキャンセル料を受けとることができないノーショーが多発すれば、人件費や原材料にお金をかけることができません。その結果満足のいくサービスの提供ができなくなり、飲食店は閉店に追い込まれてしまいます。
このような事態に陥らないために、お店側が予約をキャンセルしたお客さんに「損害賠償」のような形で、キャンセル料を請求する必要があるのです。
まとめ:居酒屋でキャンセル料は発生する!
大人数の予約が入りやすい居酒屋では、料理なしの席だけの予約を取ることができます。しかし料理がないからといって、キャンセル料が発生しないわけではありません。
たとえ席だけの予約でも、ノーショー(無断キャンセル)されることで、当日来店してもらい得るはずだった利益を失ってしまうのです。そのため席だけの予約でも、平均客単価からキャンセル料を算出し、請求されることがあります。
ただしキャンセル料は飲食店側とお客さん側、双方が合意していないと請求できず、根拠もなしに法外な金額を請求することはできません。もしも法外なキャンセル料を請求された場合は、消費者生活センターに相談してみましょう。