飲食店の無断キャンセル・ブラックリストは作成するべき?活用方法とは!

飲食店にとって予約をドタキャンされ、見込んでいた収益を上げられないばかりか、キャンセル料なども受け取れずお店の損失になってしまうノーショーは死活問題にもなってしまう重大なトラブルです。
そんなドタキャン対策としてお店側が取れる方法の中に「ブラックリストを作る」というものがあります。ブラックリストというとあまりよくないイメージを持つ人や飲食店にそぐわないと考えるもいますが、きちんとした規約を整えることで効果的にブラックリストを使えるんです。

今回は飲食店がブラックリストを作ることの必要性や、導入する上で注意しておきたい点などをご紹介していきます。

飲食店にブラックリストは必要か

ブラックリストというと借金問題などで自己破産などをしてしまい、しばらくの間お金を借りたりクレジットカードを作ったりできなくなることをイメージする人も多いのではないでしょうか。
これが飲食店になるとお店で迷惑行為をして損害を与えるお客や、無断キャンセルを繰り返すお客をブラックリストに入れることで、出入り禁止にしたり予約ができないようにすることを指します。

最近では個人飲食店のオーナーが集まって運営する組織である「全日本飲食店協会」がドタキャン防止システムというものをリリースしたことでも話題になっています。

このシステムは過去にドタキャンをしたことがある電話番号をデータベース化し、飲食店に予約が入ったときにこのデータベースと照合してドタキャン歴が多かった場合、予約を断ったり前金制でのみ予約を受けるなどの対策ができるようになるものです。
お店側がそこまでしないといけないのか、と疑問に思う人もいるかもしれませんが、飲食店の中には予約メニューを普段お店で出しているものと違うメニューを出したり、人数が多い場合はそれだけ仕入れの量を増やすといったお店も少なくありません。
しかし一度無断キャンセルが発生してしまうと用意した食材がロスになってしまうことはもちろん、予約が入ったことにより他のお客様にお断りを入れなければならないことや、見込んでいた売り上げがなくなってしまったことでお店が大赤字をこうむってしまうことなどがあげられます。

そんな状況にもかかわらずドタキャンの被害に遭っても、お店が忙しいことや裁判にかけるお金がなかなかないことからキャンセル料を請求したり、損害賠償を求める裁判を起こしたりすることはほとんどなく、泣き寝入り状態が続いているのが現状です。
そこでブラックリストを導入することでこういったドタキャン歴が多いお客に対してあらかじめお店が対策を取ることが可能になり、ドタキャンの被害を減らすことにもつながるんです。

ブラックリストの活用方法

ブラックリストを導入することでリストに入ったお客はもちろん、他のお客からのドタキャンに遭わないように活用することができます。ここからはどのような活用方法があるのかをご紹介していきます。

予約の無駄をはぶける

飲食店にとって予約が入ることはまとまった売り上げが見込めることや、新しい顧客開拓につながるといったメリットがあります。しかしその一方でその予約がドタキャンされてしまうと、食材のロスや売り上げの減少、さらには空席があっても他のお客様をお通しできず回転率が悪くなってしまうなどのお店が被る損失もとても大きくなるデメリットもあるんです。
このようなことを防ぐためにブラックリストに入っているお客から予約が入った場合、予約を拒否するなどあらかじめ除外しておくことで他のお客様分の予約枠を確保出来たり、お店の回転率を上げることも可能になります。

無断キャンセルしやすいお客の動向を知る

ブラックリストはリストに入っているお客を把握するだけでなく、どのようなお客がドタキャンするかという傾向を知ることで、新たにリスト入りしそうな危険なお客を見つけたりすることにもつながります。

例としてグループの予約が入っていて、ほとんどの人が時間通りに来ていたのに一人だけ平然と遅刻し、どうでもいい言い訳をするなどまったく悪びれた様子のない人がいたとします。違う機会にこの人からお店に予約が入り、ドタキャンをされてしまい、後日なんとか連絡は付いたものの自己保身の言い訳ばかりを繰り返ししていた場合、「時間にルーズ」という傾向と、「自己中心的」という傾向は危険と判断できます。
このような傾向を持つ他のお客から予約が入った場合、お店側はドタキャンされるかもと警戒することが容易になり、前金制などの対策を取ることでドタキャンの被害を減らしたりすることも可能です。

これはあくまでも傾向であり、お店側の過剰反応と捉えられてしまう場合もありますが、飲食店が慈善事業でやっているわけではない点や、ドタキャンされてしまった場合の損害を考えると、多少の過剰反応はお店を守っていく中で必要といえるでしょう。

情報や事案の共有ができる

ブラックリストを導入することは、時間を問わずお店にいる店主や家族が従業員になっている場合はもちろん、お昼の時間だけや夜の時間だけそこのお店で働いている店員が情報を共有しやすくなるという活用もできます。
また予約拒否や前金制のみ予約を受け付けるなど通常とは異なる対処をしているお客相手でも、時間を問わず同じような対処が取れるようになります。このほか全国飲食店協会が提供している「ドタキャン防止システム」に自分が持っているブラックリストの情報の一部を提供することで、自分のお店だけでなく他のお店でもドタキャン被害を減らすことにつなげることも可能です。

ブラックリスト作成の注意点

飲食店でもブラックリストを作る必要性や、有効な活用方法などをご紹介してきましたが、何がなんでもブラックリストを作ればいいというものではなく、きちんとした注意点を押さえた上で作らないと法律違反になったり、一般のお客様からの信用を失うことになりかねません。
ここからはブラックリストを作る上で必ず知っておきたい注意点についてご紹介していきます。

ブラックリストも個人情報です!

お店に損害を与える人間であっても、名前や電話番号をはじめとする個人を特定できる情報をブラックリストでは扱うので、店員がついうっかりしゃべってしまったり、SNSへの投稿をしてしまうといった外部への情報流出がないように、徹底した情報管理が必要です。
この管理が徹底できていないとふとしたきっかけで個人情報が流出してしまい、個人情報保護法違反により改善命令を受けたり、それでも改善されない場合は罰金などの刑事罰を受けてしまう事につながります。情報管理は店主だけが気を付けていればいいというものではなく、ブラックリストを作る場合は普段から店員全員に対して情報管理教育が必要になることも覚えておきましょう。

ブラックリスト作成のポリシーをきちんと明記しよう!

ドタキャンなどでいくらお店が被害を受けても、ブラックリストは個人情報が乗るものなので、お店独自の判断で作ったり運用できるものではなく、お客の同意があって初めて作成や運用が可能になります。このため予約を受ける際にお店としてのポリシーの中に「無断キャンセルを繰り返されるお客様について」といった項目を作り、ブラックリストに載せる可能性がある記載をしておくことが必要です。

まずは規約を整えてからブラックリストを作成しよう!

ブラックリストに乗る可能性があることをポリシーに明記するということを上でもご紹介しましたが、飲食店といえど個人情報を扱う場合、「予約サービスを利用するための規約」がしっかりしていなければなりません。
この規約があやふやなものになってしまっていると、ブラックリストが作られることばかりが表面化してしまい、SNSなどで炎上する要因になったり、お客様からの信用を失うことにもつながってしまいますブラックリストを作る場合は、個人情報を扱うことのデリケートさや重要性をしっかりとわかるような規約文を整えて公表することが必要です。
どんな規約文にすればいいか悩んでしまう場合は、個人情報保護法と言う法律にも抵触する可能性があるものなので弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

多少相談料などはかかってしまいますが、しっかりとしたお店の姿勢を見せることもできますし、法律に抵触することもないので安心してブラックリストを運用できます。

まとめ:ブラックリストは有効だが運用方法に気を付けよ

飲食店でブラックリストというと否定的なイメージを持たれがちですが、ドタキャン問題や原材料費の高騰など飲食店を取り巻く環境は依然厳しい状況には変わりありません。
きちんとした規約文を設定した上でブラックリストを作り、活用することはお店を守る上でとても重要なことで、多くのお店があるがゆえに軽く見られがちな飲食店の予約の現状を変えていくことにもつながります。
もちろん運用の際には個人情報が流出しないように厳重な管理を心がけて、ドタキャン被害はもちろん炎上騒ぎなども起きないようにしていくことがとても重要です。