旅行業界や飲食業で問題視されている「ドタキャン」や「ノーショー」ですが、実は占い業界でも被害が大きいんです。今は昔と異なり予約制で鑑定を行う占い師が多いため、ドタキャンやノーショーが発生するとその分の鑑定料を得ることができず、大きな損失になってしまいます。
しかし占いでも予約時にキャンセルポリシーを表示する、ドタキャンに関する規約などを作って、相談者に提示することで損失を防ぎ、キャンセル料を請求することができるんです。
今回は占いの予約におけるノーショー対策やキャンセル料金の請求についてお話していきます。
目次
占いでもノーショー(無断キャンセル)は問題です!
昔は手紙くらいでしか遠方の人とのやり取りができなかったため、辻占いなど他に占ってもらう人がいないときはすぐに占ってもらうことができました。そんな状況ですから、昔は占いで「ドタキャン」が発生することもなかったんですね。
しかし最近はインターネットや電話で、鑑定予約を受け付けている個人の占い師や占い館が多いです。そしてここで問題になるのが、飲食店や旅行業界で大損害を出している「ドタキャン」や「ノーショー」です。占い業界ではどんな状況なのか、見ていきましょう。
占い鑑定でもノーショーが頻発している
占いは昔からある職業のひとつで、周囲に話をすることのできない悩みやトラブルを解決するために利用する人がほとんど。中には開運を願って、事業設立のための社名などを視てもらう経営者もいます。そんな占いですが、以前は対面・出張鑑定や手紙などでの鑑定が主流でした。しかし近年はインターネットの普及に伴い、電話鑑定やLINE、Skypeといったものを利用した鑑定も増えています。
またテレビやラジオ番組に出演している有名占い師も多く、鑑定を行う傍ら執筆や占い師養成講座などを行っている先生や、全く別業種と掛け持ちをしている先生も中にはいます。さらにここ数年はスピリチュアルブームもあって、占いを気軽にお願いする人も増えていることから、最近では占い業界でも予約制になっている占い館や個人の占い師が増えているんです。
しかし残念なことに予約者が増えることで、当日姿を現さずキャンセル料も支払わない「ノーショー」を行う人が増えているという現実もあります。
個人運営では大打撃
全国規模で事業展開している占い館や、地域に数店舗構えている占い館などでもノーショーやドタキャンによる被害はあります。占い館の場合は占い師の所属人数が多いため、複数の先生でノーショーが発生してしまえば、1日でも相当な金額の損害が発生してしまいます。
例えば、鑑定料金30分3,000円でどの先生も占ってもらえると仮定して、次の計算式で損害を計算してみましょう。しかし
鑑定料金×1ヵ月のノーショー回数=損害額
- 3,000円(鑑定料金)×5回(ノーショートータル回数)=15,000円(損害額)
- 3,000円×15回=45,000円
- 3,000×30回=90,000円
鑑定料金が高い先生なら、30分6,000円以上だったり、1時間2万円以上ということもあります。
占い館の場合は予約なしで訪れた場合、目的の先生が先に他の人の鑑定に入っていた場合は、そのとき空いている他の先生にお願いする、ということもよくあります。しかし個人だと他から回ってくることはありません。そのため個人の占い師はノーショーの影響をモロに受けてしまい、一ヵ月の収入が激減して占い師だけではやっていけない、なんて話もよく耳にします。
またノーショーやドタキャンが続くと、モチベーションも下がってしまい、結果的に鑑定がいい加減になって当たらなくなり、相談者からの評価が下がってしまうということにもなりかねません。
鑑定でもキャンセル料は請求できます!
飲食店や旅行業界では、キャンセル料を設定しているところが多いです。しかし占い師というちょっと特殊な仕事だから、また人の役に立ちたくて占い師になったという方の場合は、キャンセル料を設定していいのか悩むという先生が意外に多いです。
キャンセル料とはどんな業界であれ、顧客とお店側での契約が成立した場合に請求することができるんです。ここでいう契約とは予約も含まれるので、鑑定予約が成立した段階で、法的にきちんとキャンセル料を請求することができます。
しかし予約時にきちんと相談者にキャンセルポリシーを提示しておかなければなりません。
キャンセル料の規定(キャンセル・ポリシー)を作ろう!
キャンセル料を法的にきちんと請求するためには、「キャンセルポリシー」を決めて、予約時に相談者に提示し理解してもらう必要があります。キャンセルポリシーが長文でなければいけない、なんて決まりはありません。シンプルでわかりやすい文章のほうが、きちんと読んでもらえ理解してもらいやすいです。
しかしHP上で公開する際は、掲載するページに注意しましょう。HPのトップページや予約ページの先頭に入れると、相談者の目に留まりやすいです。しかし予約とは全くかけ離れたページなどに掲載すると読まれないこともあります。
ポリシー作成に必要な情報
キャンセルポリシーの内容はどのようなものでもよい、というわけではありません。「消費者契約法」にのっとった内容にしないと、トラブルに発展し裁判となった段階で法的に無効になってしまう事があるんです。キャンセルポリシーを作成する際は、以下の情報を公開するようにしましょう。
予約時間厳守ということを明記しよう!
予約制の場合、1人が遅れてくることでその後の相談者の時間もずれてしまうことが多いです。そのため基本的に「予約時間厳守」という一言を記載しておきましょう。しかし当日の天候や交通状況などによっては、どうしても遅刻してしまうこともあります。
遅刻した場合、何分までなら受付可能なのか、数分の遅刻でもNGなのか、ということをしっかり明記しておけば、ドタキャンやノーショーだけでなく遅刻も防ぎやすくなります。また遅刻受け入れ可能な場合でも、遅刻時間によってはメニューや時間に制限がかかることも記載しておくと、トラブルを回避しやすくなります。
キャンセル扱いになる条件もしっかり明記!
ドタキャンやノーショーを防ぐためには、事前に「予約日の〇日前まではキャンセル料がかかりません」、「〇日前からキャンセル料が発生します」というように、いつからキャンセル料が発生するかを明記するようにしましょう。
何日前までにキャンセルがわかれば、その日他の相談者の鑑定をできるかを考えて設定することで、損害を最小限に抑えることができます。
キャンセル料金について
ドタキャンやノーショーでキャンセル料を回収するためには、事前にキャンセル料金がいくらになるのかを明記しておく必要があります。あらかじめキャンセル料の表記がないと、相談者側からしてみれば、万が一キャンセルせざるを得ない状況になったときに、いくら支払わなければならないのかわからず不安になってしまいます。
その結果予約をやめてしまうということにつながりかねません。キャンセルポリシーにはきちんとキャンセル料について明記して、相談者が不安を覚えず安心して利用できるようにしましょう。
ペナルティを設定するのもあり
ペナルティをあらかじめ決めておくことで、ドタキャンや遅刻、ノーショーを防ぎやすくなります。
例えば…
- 予約日前日以降のキャンセルは、次回以降ご予約が取りにくくなります
- 遅刻の場合は通常料金で残り時間内での鑑定となります など
ペナルティはあまり複雑にすると、かえってトラブルの元になりかねないので、誰が見てもわかりやすく記載しましょう。
予約成立をわかりやすく!
電話やメールでの最初の問い合わせで予約完了になると思っている方は意外に多いです。そのため何をもって予約成立となるのかを、きちんと決めておきましょう。「予約成立=契約成立」なので、利用規約やキャンセルポリシーを守ってもらうため、予約成立条件を決めるのはお互いにとって大切なことです。
はっきりと「予約を受け付けました」と明記したメールを受け取った、電話口で予約を入れたとはっきりと言われた段階などわかりやすい形にしておきましょう。
占いのキャンセルポリシーにおすすめの項目
キャンセルポリシーを設定する大切さは分かっていただけたでしょうか?
しかし具体的にどのような項目が必要なのか、わからないという方もいることでしょう。ここからは占いの予約に関するキャンセルポリシーで、おすすめな項目について見ていきましょう。
キャンセル料の設定
これは占いだけに限った項目ではありませんが、具体的にキャンセル料がいくら発生するのかを事前に記載しておくことで、キャンセル料を請求したときにトラブルが起こるのを回避しやすくなります。
例えば…
- 3日前までのキャンセル:キャンセル料なし
- 2日前のキャンセル:ご予約メニュー料金の30%
- 前日のキャンセル:ご予約メニュー料金の50%
- 当日キャンセルの場合:ご予約メニュー料金の100%
このように記載してもOKです。
金額や請求金額の割合は占い師側(もしくは占い館)側で決めて問題ありませんが、あまりに法外な金額の場合は裁判などで無効と判断されます。
キャンセル料の設定については、こちらの記事を参考にしてください。
さらに次のようなキャンセル扱いになる条件もしっかりと記載しておきましょう。
- 折り返しの予約確認連絡が取れない
- 予約時間を10分過ぎても現れない など
キャンセル条件ははっきりと、わかりやすく明記するのがポイントです。
開催日の変更や払い戻しについて
占い館や個人の占い師の支払方法は対面や出張鑑定の場合は現金、電話やLINEは後払い、メールの場合は前払い制のことが多いですが、占い師側の都合で日時変更などがあることも明記しておきましょう。
鑑定だけでなく占い教室やイベント日程の変更・中止になった場合の通知方法や、前払いだったときの払い戻し方法についても、事前に明記しておくことでトラブルを防止しやすくなります。
責任・損害賠償について
大げさと思われがちですが、キャンセルポリシーには責任・損害賠償についての項目も記載しておきましょう。ノーショーやドタキャンは「契約破棄」に該当するので、予約者が占い師や占い館側に損害賠償責任が発生するからです。
責任・損害賠償についての免責事項についてはこちらのページも参考にしてください。
まとめ:事前に規約を明記して気持ちよく利用してもらおう!
占い業界でもドタキャンやノーショーによる被害はありますが、事前に対策を取ることである程度未然に防ぐことは可能です。まずはきちんとキャンセルポリシーを作成し、キャンセルの扱いやキャンセル料金について、予約時に周知しましょう。事前に知らせることで、ドタキャンやノーショーを防ぎ損失を減らしやすくなるだけでなく、トラブルも回避しやすくなります。
相談者と占い師、双方が気持ちよくやり取りを行うことで、口コミが広がり利用者増も見込めるのではないでしょうか。