無断キャンセルの被害届は警察に受理されないのか?今後の傾向と対策とは

無断キャンセル(通称:ノーショー)がお店にもたらす被害は大きく、対策を講じているオーナーさんは多いと思います。

しかし、どんなに万全の対策をしていても、無断キャンセルにあってしまうことがあります。
実際に被害にあってしまったとき、どんな行動を取ればよいのでしょうか。

泣き寝入りをするお店も多い中、無断キャンセル=犯罪ととらえて警察に相談に行くことを検討する方もいるでしょう。
そこで気になるのが、無断キャンセルの被害届は警察に受理されるのか、罪として認められるのかといところですよね。

無断キャンセルについて、現状の警察の対応と、今後の傾向・対策についてまとめてみました。

無断キャンセルの被害届は警察に受理されない

結論からいってしまうと、無断キャンセルの被害で警察に被害届を提出しても受理される可能性はほぼゼロに等しいです。
法の整備や対策が追い付いていない現状では、残念ながら無断キャンセルを罪として立証することはほぼできないと考えられます。

警察は犯罪の“予防”では捜査はしてくれない

警察は基本的に“何か事が起こってから”動き出すものです。

飲食店で例えると、飲食したにもかかわらずお金を払わない、俗にいう食い逃げならば、実際に被害が出ているので警察に届け出れば捜査してもらうことができます
しかし、無断キャンセルの場合、実際にお客さんに飲食を提供する前段階=被害は出ていないという考えになるため、警察が動くことはまずありません

無断キャンセルだって大きな被害は出ている!と思う方も多いでしょうし、実際被害が出ているから対策が講じられているわけなので大きな矛盾があるようにも感じます。

しかし、お客さんにはあくまで自分が注文し飲食した分の支払いをする義務があるのであって、無断キャンセルのように飲食する前段階に支払いをしなかったから罪になるかと問われると、難しいでしょう。
このことから、無断キャンセルを被害を罪として認めてもらうのはかなり厳しいといえます。

ノーショー(無断キャンセル)は立証が難しい

そもそも、無断キャンセルは被害を立証すること自体がとても難しいのです。

予約されたときの情報が本物とは限りませんし、実際にキャンセルをした人物が店に現れていないので、現行犯として捕まえることもできません。
犯人を特定することがまず困難です。

仮に特定できたとしても、今度はそれが悪意のあるキャンセルだったのか、やむを得ない事情があったのかの判断がしづらく、結果的に無断キャンセルを罪として立証することが難しくなります

何十件、何百件と無断キャンセルを繰り返す愉快犯のような人物が出てきて、それを特定できたとすれば話は別ですが、一件二件のキャンセルでは罪にはならなず、警察も対応できないという大変残念な現状があるのです。

被害が大きい場合は弁護士に相談を!

警察では被害届を受理してもらえないとなると、無断キャンセルは泣き寝入りするしかないように感じてしまいます。
しかし、ここで泣き寝入りをしてしまっては今後無断キャンセルが無くなることはありません

罪として立証できなくても、相手を特定したり損害を賠償してもらうことは可能です。
被害が大きい時にはまず、法の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

まずは無料相談などで話を聞いてみる

弁護士は相談するだけでお金がかかるイメージがありますし、こんなことで相談してよいのかと迷ってしまうこともあるでしょう。
一般人には馴染みが無いというのが本音ですよね。

そんな方はまずは、各所で行われている無料相談を利用してみるとよいでしょう。
無料なので時間は短いですし本格的な依頼はできませんが、事件の概要をお話してアドバイスをもらうだけでも解決の糸口になります
弁護士に正式に依頼した方がよい案件かどうかなど判断もできますので、今後の方針を決めるのにも役立ちます

電話番号から犯人を特定できる

無断キャンセルをした犯人が分からないときでも弁護士に相談すれば、相手を特定し適切な措置を取ることができます

弁護士には、裁判に必要な情報を得るために一般人では知りえない情報を集めることができる制度があります。
その制度の一つ「弁護士会照会」は、依頼を受けた弁護士が所属する弁護士会を通じて、企業や団体に情報の開示を求めることができるという制度で、求められた団体は原則として回答をする義務があります。

この方法を使って、電話番号から電話の契約会社に個人情報の開示を求めることができるため、犯人が分からない場合でも相手を特定することが可能となります。

適正な請求額(損害額)を知れる

犯人を特定できたとしても、お店の判断で損害賠償を請求するのは注意が必要です。

請求されたことをSNSで拡散されてお店の評判を落としてしまうことも考えられますし、請求額が大きすぎると逆にこちらが訴えられてしまう危険性もあります。

このようなときも自分で動く前に、まず一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

適正な請求額(損害額)を算出し適切な請求をするためには、弁護士を立てて請求するのが一番安全です。

ドタキャンの対策を立てられる

一回無断キャンセルの被害に合ったお店では、同じような被害に合わないよう対策が急務となります。

犯人への請求の方針などが固まったら、今後の対策についても弁護士に相談してみるとよいでしょう。
法に沿った適切なアドバイスをもらえますよ。

経済産業省は、被害を減らす対策を開始

「サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会」(平成29年度経済産業省委託調査事業)が発表しているノーショー対策レポートの中で、無断キャンセルに対する対策を始めることが書かれており、国として対策がなされることが明らかとなりました

具体策についてはまだ明言されていませんが、事態は深刻ですので早い対策が求められます。

まとめ:損害賠償は泣き寝入りしないこと!

どんなに対策を講じていても、無断キャンセル被害にあってしまうことはありえます。
いざ被害にあったときに、適切な対応ができるよう日頃から方針を決めておくと安心ですね。

警察が動けず罪になりづらいことから、無断キャンセルという行為は甘く見られがちで、被害は後を立ちません。
泣き寝入りをするお店が多いことも被害が減らない原因の一つと考えられます。

無断キャンセル被害を減らすためにも、泣き寝入りはせずに弁護士に相談するなどして、適切な対応を行うようにしてください。