売り上げ機会を逸するだけでなく、食材のロスや予約が入っていた分他のお客様をお通しできなかったなどノーショーとも呼ばれる無断キャンセルによるお店の損失は大きなものです。
このノーショーは世界中で大きく問題視されそうなトラブルですが、海外に比べて日本はその損害が大きいと言われています。その要因として、日本では現金での支払いがメインで、カード決済など現金を使わないキャッシュレス決済への対応が遅れていることなどが挙げられるんです。
今回はノーショー問題にも重要な対策になるキャッシュレス決済や、各種サービスについてご紹介していきます。
目次
日本だけ?!NoShowで損害が大きい理由
飲食店はもちろん、ホテルをはじめ、美容室やエステなどサービス業界全体で社会問題となっているノーショーですが、諸外国では日本に比べて損害額も低く、社会問題というほどでもないことをご存知でしょうか。なぜ日本でノーショーが社会問題になるのか、まずはその理由について見ていきましょう。
日本だけ、先入金の予約が少ないわけではない
ノーショーの被害が大きい理由を考えた場合、クレジットカードなどを利用した先入金が発生する予約をしているお店が少ないことを理由に挙げる人も多いのではないでしょうか。しかし外食産業においては外国でもクレジットカードの番号を聞いておき、ドタキャンが発生したときにはキャンセル料を引き落とす、といったことをしているのは多くのガイドブックに載るような一部の人気店だけといわれています。
多くの飲食店では日本のお店と同じように電話などで予約を受け付け、控えておくだけなのでノーショーの対策が出来ているわけではないんです。
ではなぜ日本ではノーショーが社会問題として取り上げられるかというと、日本の飲食店は外国のそれと比べてとても利益が上がりづらい仕組みになっていることが挙げられます。
これがどういったことかと言うと、商品の値段は基本的に原材料費にお店を経営するのに必要な水道光熱費やサービス料金などを加味して、さらに利益が出るように一定のマージンを加えた上で設定されますが、飲食店の数が多いことや値段を高価に設定すると客足が遠のくといったポイントから、薄利多売の値段設定にしているお店が多いんです。
もちろんこのような値段は材料費の高騰などの要因により値上げをされるものですが、日本では長年続いたデフレや不況などの影響から値上げをするにしても最低限にし、回転率を上げることでなんとかフォローしようとしている部分が非常に大きいと言えます。
そのため、ドタキャンが発生してしまうと回転率で補うことができずお店の損失ばかりが増えることにつながるため現在のような社会問題になってしまっているんです。
予約サイトの利用料金の値上がり
日本人に限らず、まったく情報も何もない飲食店に意を決して入ってみるというのは、ハズレだったときのリスクを考えてしまう点からもなかなか難しいと言えるのではないでしょうか。そんなお店探しに役立つのはガイドブックなどだったのですが、スマートフォンの普及などによりお店を探すだけでなく、気に入ったお店を予約もできるぐるなびや食べログといった予約サイトへと移っている状況です。
何もしなくても常連客が多く、さらに口コミなどで多くのお客様が訪れてくれるような人気店であればともかく、そうでないお店ではなんとか回転率を上げるためにこれらの予約サイトに情報を載せてもらうお店は多い傾向にあります。
しかしこれらの予約サイトを利用するには当然利用料が必要になり、もともとマージンの少ない飲食店経営を圧迫する要因にもなっていますが、予約サイト側のサービス拡張などによりその利用料も上がっています。しかしそれを加味してメニューの値上げをすることもできず飲食店の経営がさらに圧迫されているためにノーショーによる損失がお店に深刻なダメージを与えているのが現状です。
もちろん予約サイトなどを利用せず、お店側が自力で顧客開拓ができれば理想的なのですが、なかなか難しい状況なことや、消費者側がコスパを最優先にする意識が高いことなどから、飲食店側が薄利多売ではなく健全な経営をしづらい状況にあります。
海外ではキャッシュレス決済が当たり前!
上記で先入金が少ないわけではないというのをご紹介しましたが、日本で主流となっている現金での支払いがノーショーの対策を遅らせている要因の一つになってしまっているのをご存知でしょうか。ここからは現金支払いがノーショー対策の障害になっている理由をご紹介していきます。
外国人にとって日本円での支払いは面倒くさい?
近年の観光政策などにより中国や韓国などアジア圏をはじめとして、多くの外国人観光客が日本を訪れるようになりました。
海外旅行をしたことがある人ならお分かりかもしれませんが、海外旅行をする際に現地の通貨に両替をして、買い物や飲食をするのは当たり前の行動ですが、クレジットカードやキャッシュレス決済が主流になりつつある現在ではわざわざお金を用意するのがめんどくさいといった考えを持つ人も少なくありません。
そのため予約はしたものの、カードなどキャッシュレス決済が使えないからと言う理由でドタキャンをすることがあるだけでなく、先入金制やキャンセル料を設ける場合でも現金でのやり取りで行われることはほとんどなく、カードやキャッシュレス決済を取り入れないと回収が難しくなることがほとんどです。
日本を訪れる外国人観光客が増加することは、新たな顧客開拓のチャンスとも言えますがそのためには現金でのやり取りだけでなく、カードやキャッシュレス決済も取り入れ、お客様が対応できる支払方法の多様化を図ることも重要になってきています。
キャッシュレス決済のおすすめサービス
中国をはじめ諸外国と比べてまだ日本は現金取引が主流で、キャッシュレス決済の普及率などはまだまだ後進国な状態です。
しかし最近になって徐々にキャッシュレス決済の種類も増え始め、消費税増税後はキャッシュレス決済などでかかる消費税が減額されるという制度も設けられそうで、世界と同じようにキャッシュレス決済が主流になるのもそう遠くはないのかもしれません。
ここからは現在でも使えるキャッシュレス決済のうち、おすすめのサービスを5種類挙げ、どういったサービスなのかの説明とメリットをご紹介していきます。
PayPay
PayPayは2018年秋にサービスを開始したキャッシュレス決済システムで、スマホなどに表示されるQRコードを読み取ることで現金を使わず決済が可能です。
キャッシュレス決済の世界ではサービス開始がまだ新しいPayPayですが、2度にわたる100億円還元キャンペーンやTVCMなどで知名度やアクティヴユーザーの開拓に成功し、ユーザー数も600万人を超えるなどキャッシュレス決済のトップランナーとして盤石の地位を築いていると言えます。
PayPayを使用するメリットとして、まずは支払いやチャージといった手続きがすべてスマホ1台で完結することが挙げられます。
キャッシュレス決済はいちいちお金を出さなくてもいい手軽さがウリとも言えますが、PayPayではアプリをダウンロードするのも、クレジットカードやYahoo!マネーからチャージするのも、もちろん支払うのもスマホ1台で事足りるので、スマホさえあれば他のものがいらなくなるのは強みです。またPayPayではこれらのチャージにかかる手数料が無料ですし、Yahoo!ショッピングなどのオンライン決済にも対応しているのもメリットといえるでしょう。
LINE Pay
LINE Payはスマホの無料通話アプリ「LINE」が提供しているキャッシュレス決済システムで、クレジットカードと連携させたり、自分が持っている銀行口座を登録することでチャージをすることができます。
LINEを使っている人なら手続きが簡単に済むことに加え、相手の口座番号を知らなくてもLINE Payを経由して送金が手数料なしでできたり、飲み会などで割り勘にするときも割り勘機能を利用して数字を入力すればそれだけですむので、余計なおつりが発生することもなくなります。
そんなLINE Payはローソンやファミリーマートといったコンビニはもちろん、ドラッグストアや大型家電量販店、飲食店と使えるお店が多いのも特徴で、日常生活の中で使いやすいキャッシュレス決済システムと言えるのではないでしょうか。
楽天 Pay
楽天 Payはその名の通り楽天が運営しているキャッシュレス決済システムで、他のサービスと同じようにスマホに表示されるバーコードやQRコードをお店側が読み取ることで決済が完了します。そんな楽天 Payのメリットは、普段から楽天カードを利用している人よりもポイントがたまりやすいことや、利用できるお店がローソンやTOHOシネマズ、DMM.COMと幅広いジャンルに対応していることが挙げられます。
また楽天 Payはキャッシュレス決済システムを導入するお店側にもメリットが多く、楽天の口座を利用しているお店では最短で翌日に手数料無料で入金されること、さらには楽天Payはもちろん、各種クレジットカードやSuicaなどの電子マネーまで、決済に使える手段がキャッシュレス決済の中で国内最多を誇っているんです。
au WALLET
au WALLETはauがサービスを展開しているプリペイドカードで、クレジットカードやauショップなどでチャージをして使うことができます。
そんなau WALLETはauユーザーならだれでも審査不要で作成可能、発行時やチャージ時の手数料もかからず、Mastercardの加盟店であればどこでも利用できるので、利用できるお店が多いのもメリットに挙げられます。
またインターネットサイトでの支払いも、WebMoneyが使えるところであれば利用可能なので、多くの場面で利用できるキャッシュレス決済といえるでしょう。
d払い
d払いはNTTドコモが運営しているキャッシュレス決済システムで、他のキャッシュレス決済と同様にスマホにバーコードやQRコードを表示させ、お店側が読み取ることで決済が完了する仕組みです。
そんなd払いのメリットはdアカウントがあれば利用できる点や、料金が毎月の携帯電話料金に加算できるので、クレジットカードを持っていなくてもキャッシュレス決済ができる点があります。またお店側もバーコードリーダーがあれば対応可能で、わざわざキャッシュレス決済のためにPOSレジなどを導入するランニングコストが抑えられるのは強みと言えるでしょう。
デビットカードは導入すべきか
キャッシュレス決済の方法として以前から利用されているもののひとつに「デビットカード」というものがあります。
このデビットカードはクレジットカードのような「後払い」のものではなく、決済をした時に「自分の銀行口座から引き落とされる」ので、使いすぎの心配がないメリットがある反面、年会費がかかってしまうものが多かったり、デビットカードを発行した銀行の口座からしか引き落としがされないので、自分のメインバンクが主になってしまうなどのデメリットもあります。
しかし現金を持ち歩かないキャッシュレス決済をメインにする場合、スマホのバッテリー切れや通信障害などで他のキャッシュレス決済が使用できない場合でも、デビットカードを持っていれば対応できるなど支払いの幅を広げることができるので、日常的には使わずともデビットカードは導入すべきといえるでしょう。
まとめ:支払方法を多様化しよう!
日本国内ではまだまだ利用者の少ないキャッシュレス決済ですが、利用できるお店がまだ少ないというのも理由として挙げられます。お店側が現金での支払いだけでなく、キャッシュレス決済などお客からの支払い方法を多様化させることは、飲食業界を中心に社会問題にもなっているノーショーの対策になるだけでなく、新しく顧客を開拓することにもつながるなどのメリットがあります。
キャッシュレス決済の導入はお店側にはランニングコストがかかる場合が多いですが、利用者にはメリットも多いのでこれを機会にキャッシュレス決済の導入を検討されてはいかがでしょうか。