ノーショー(無断キャンセル)は日本人だけではありません。近年諸外国から日本に訪れる外国人観光客や日本に住む外国人が増えています。ホテルや飲食店などに予約を入れる外国人も増えていますが、直前になっても連絡がない、当日連絡がつかないなど外国人によるノーショー(無断キャンセル)被害も増加しています。外国人のドタキャンは、一体どのような理由で行われるのか気になりませんか?
また外国人旅行者のノーショー対策がないと諦めてしまう経営者が多いですが、100%防ぐのは無理でも、理由を知ることで被害を減らすことはできます。今回は外国人旅行者によるノーショーの理由と対策について考えていきます。
目次
外国人によるドタキャンが増加!
外国人旅行客や海外の旅行代理店などは早い時期からホテルに予約を入れるため、キャンセル料発生直前になってドタキャンするケースが多いです。また飲食店でも外国人の予約を受けたものの、当日に連絡もなくノーショー(無断キャンセル)されたり、予約時間を過ぎた閉店ぎりぎりの時間に来店するというケースも増えています。
一体どうしてこのような事態になっているのか、理解に苦しむという経営者は多いですが、これには諸外国と日本人の「民族性」などが大きく関わっています。
外国人がなぜドタキャンやノーショーをするのか
世界レベルでの日本人は「真面目・誠実で時間にきっちりしている」という印象が強いようです。実際諸外国と比べると、電車やバスなど公共機関の時間は分刻みでほぼピッタリですし、約束の時間などに遅刻するのは相手に失礼と思う人が多い傾向にあります。
また自分よりも周囲のことを考え、協調性があるともいわれており、モノの見方や考え方が諸外国の方と異なるため、ノーショーやドタキャンが発生しやすいともいえます。
時間・契約の感覚が違う
まず日本人と諸外国の方々の違いは、「時間や契約に対する考え方や感覚の違い」でしょう。そもそもの考え方が異なるため、ホテルや飲食店の予約でトラブルが発生しやすいです。日本人は昔から時間にきっちりな几帳面な性格ですが、諸外国では以下のように考えていることが多いです。
- 時間はあくまでも目安
- 本人に行く意思があるなら時間にルーズでもOK
- 前入金でないなら予約確定ではない
- キャンセル料発生直前のキャンセルは客の権利だから問題ない
- 予約自体なければお店の売上がないのだから、キャンセルしても同じ
このように日本人客と外国人客の考え方や感覚が異なるため、外国人旅行客によるノーショーやドタキャンがなくなることがないのです。
メリットを重視する
日本人と比較すると外国人は「自分のメリット」を重視する方が多い傾向にあります。単純に宿泊できればいい、飲食できればいいだけでなく、「+αのメリット」が多ければ多いという感覚です。
例えば、予約ではないですがとある女子大生A子さんが、同じ大学の外国人の友人数人に誘われ、急に翌日1泊でディズニーランドに行くことになりましたが、翌日は朝から雨が降っていました。
A子さんはそれでも行けばそれなりに楽しめるので行くつもりでしたが、出かける前に友人から連絡が入り「雨降りだから今日はやめよう」といきなりドタキャンされたのです。
このケースの場合ディズニーランドで楽しむメリットよりも、「雨で濡れたり不快な思いをしない」というメリットを優先したとも考えられるのではないでしょうか。
このように「選択の自由度の高さ」も求める人も多く、「融通が利く=メリットが多い」と意識している外国人の方も多いです。そのため、予約を入れたものの、他にもっと良い予約条件の所を見つけたりすると、キャンセルされることも多いです。
新しい興味の発見
外国人旅行者は訪れた観光地で知った新しい発見があって興味を引かれた場合、当初の予定を変更してそのとき興味を引かれたものを選ぶことが多いです。
また個人の嗜好に合う商品やアクティビティを発見し、事前に予約していた予定と中身を比べ発見したものの方が魅力があると判断すると、予約をドタキャン・ノーショーしてそちらに行ってしまうことも多いためです。
外国人のドタキャンを防ぐ対策とは
ホテル業界や飲食業界では外国人旅行者によるドタキャンや、ノーショーが増加傾向にあり深刻な問題になっています。一体どうすれば外国人や外国人旅行者による、ドタキャンやノーショーを防ぐことができるのでしょうか。
信頼できるサービスに徹する
外国人に興味を持ってもらえる、メリットがあると思われるアビリティやサービスを付けるのもよいですが、まずは安心・安全に利用でき信頼感のある店舗づくりを目指し、顧客を獲得しましょう。外国人客は一度信頼を得て顧客になると、強い信頼関係ができ知人や親族なども連れてきたり、お店を紹介してもらえることが多くなります。
予約時に利用者情報をしっかり獲得しよう
外国人や海外の旅行代理店から予約が入った場合、万が一ドタキャンやノーショーされたときにキャンセル料が請求したり、当日来店時間が過ぎたときに連絡できるよう、きちんと予約者の氏名や携帯電話番号などの情報を聞いておきましょう。
予約時間前にはリマインドを!
日本人客と同じで外国人の場合もリマインドを行うことで、ドタキャンを減らすこともできます。またきちんと予約後にリマインドで個別対応を行うことで、外国人客とコミュニケーションをとることができます。例え片言英語でも、外国人客とコミュニケーションをとることができれば、「お客様を大切にしている」という印象を与えることができ、それだけで信頼感が生まれることもあります。
外国人に対して予約方法を変える
外国人によるドタキャンやノーショーが起こりやすい原因に、「予約方法の違い」があります。日本ではキャンセル料は後払いにしている店舗が多く、予約時には未入金状態ということがほとんど。そのため外国人客は自分のペナルティがない状態で、自分のことだけを考えてドタキャンやノーショーを行うケースが多いです。
外国での予約は、「ギャランティ・リザベーション」というシステムが一般的です。
「ギャランティ・リザベーション」とは、予約時に予約者のクレジットカード番号を店舗に伝える、予約システムです。
クレジットカード番号を事前に聞いておくことで、当日姿を現さなかったり連絡がつかなくなった場合でも、キャンセル料をしっかり請求することができ、店舗側の損害を最小限に抑えることができます。
実際に東京都の根津にある「澤の屋」では、約8割の外国人旅行客がいますが、「ギャランティ・リザベーション」を取り入れることで、ドタキャン被害を減らすことに成功しています。
また英語を話せない経営者の場合、宿泊ホテル経由での予約受付にしているところもあります。ただこの場合でもドタキャンやノーショーを完全に防ぐことはできませんが、あらかじめキャンセル料の請求などをきちんとホテル側と取り決めておけば、損害を減らしやすくなるでしょう。
まとめ:感覚の違いに戸惑わず信頼を作ろう!
世界にはさまざま国があり、それぞれでものの見方や考え方、感覚などが異なるため、予約や契約に対する考え方が日本と異なるのも仕方ありません。しかしドタキャンやノーショーによる損害は大きなものになってしまいます。
ドタキャンやノーショーの被害を最小限に抑えるのであれば、店舗側も泣き寝入りせず相手のことを理解しようと努めたり、キャンセルされないようなサービスや店舗づくりにも力を入れるべきでしょう。また予約システムなども、日本人客のドタキャンやノーショーを減らすことのできる「前入金」や「ギャランティ・リザベーション」を取り入れることを考えることも必要です。
日本人でも外国人でも「相手に対する信頼関係」を築くことができれば、自然とキャンセルも減ってきます。考え方や感覚の違いで戸惑うことが多いかもしれませんが、積極的に外国人客との信頼を作ることが、ドタキャンやノーショー対策の基本となるのではないでしょうか。