予約のキャンセル時に適宜キャンセル料を請求することがありますが、キャンセル料の金額は適切な金額になっているでしょうか?
損害を負ったのだからといって、過剰なキャンセル料を請求してはいないでしょうか。
キャンセル料はしっかりと適切な金額を計算し、正しい手順を踏んで請求しなければ大きなトラブルに発展するケースも考えられます。
トラブルを避けるためには、適切なキャンセル料の割合について学んでおく必要があるでしょう。
ここでは、お客様にもしっかり納得してもらえ、なおかつ損失もしっかり回収できる適切なキャンセル料の割合についてを解説していきます。
目次
キャンセル料の取りすぎは損失につながる
予約のキャンセルによって負ったお店の損失を補うためにお客様に請求するのがキャンセル料ですが、度を越えたキャンセル料を請求すると逆にお店の損失につながってしまう可能性があります。
高過ぎるキャンセル料は、お客様に不満を抱かせてしまい、キャンセル料を払うことを拒否されてしまったり、SNSなどを通じて悪い噂を立てられてしまったりする原因となりえます。
場合によっては、キャンセル料の支払い無効を求めた裁判に発展してしまうケースもあるため、キャンセル料の金額設定は慎重に行わなければなりません。
お客様にも納得いただけるよう、適切なキャンセル料の設定が求められます。
キャンセル料設定の定義
適切なキャンセル料を設定するためには、まずキャンセル料設定の定義について知らなければなりません。
キャンセル料を決めるとき、確認しておきたいのが消費者契約法です。
消費者契約法とは、消費者を守る目的の法律で、消費者に不利な契約を無効にすることなどが定められています。
この消費者契約法では、キャンセル料について『キャンセルで生じる平均的な損害額を超えない程度の金額』にすべきと定義されており、キャンセル料を設定する際にはこの定義に沿った適切な金額を算出し、設定する必要があるのです。
キャンセル料の割合の考え方
キャンセル料の適切な金額は、そのお店の業種によって考え方が異なります。
ここでは、各業種ごとにキャンセル料の割合を確認していきましょう。
飲食店・レストランの場合
まずは、最近無断キャンセルの問題が大きく取りざたされている飲食店やレストランの場合をみていきましょう。
飲食店やレストランのキャンセル料の適切な割合については、無断キャンセル問題について開かれた有識者会議にて発表された「No show対策レポート」の中でも明記されています。
飲食店やレストランの場合は、まず、予約の内容がコース予約なのか席予約のみなのかによってキャンセル料の考え方が変わります。
コース予約の場合、予約内容に合わせて料理などをお店側が用意してしまっていることが考えられるため、キャンセル料は料金全額の請求が相当とされています。
対して、席予約のみの場合は、平均客単価から他のお客様に転用ができる人件費や材料費を抜いた額が相当とされており、割合にすると平均客単価の5割~7割程度の請求が可能と考えられます。
ホテルの場合
ホテルや旅館の場合、各施設でキャンセル料に対しての考え方が異なるため、決まった割合があるわけではありません。
共通しているのは、予約日の3日前ならば50%、前日ならば80%、当日ならば料金全額を請求するというように、キャンセルしたタイミングによってキャンセル料の割合を変えているという点です。
宿泊施設では予約日より前から部屋の管理などに人件費がかかるため、それらの費用からキャンセル料を算出するとよいでしょう。
美容室・サロンの場合
美容室の場合、当日キャンセルでもあまりキャンセル料を請求することはないようですが、当日キャンセルを繰り返すなど悪質と判断されるようなケースでは、キャンセル料を請求することは可能です。
ただし、前述した消費者契約にのっとた額となることを頭に入れておきましょう。
美容サロンの場合は、期間や回数を決めたコース契約の形が多いこともあり、独自の規約を設けてキャンセルや解約に対応していることが多いです。
当日予約のキャンセルであれば、料金の50%程度をキャンセル料としていることが一般的です。
また、コース契約の途中解約の場合には、実際に施術した回数分の料金+違約金を請求することができると考えられます。
損失が大きい場合は損害賠償をできるように設定する
キャンセルのタイミングや、無断キャンセルのような悪質なキャンセルなど、場合によっては予想外に大きな損害をお店が負うことがあります。
しかし、消費者契約法の定めにより高額すぎるキャンセル料を請求することは困難なため、キャンセル料だけでは損害を補いきれない可能性があるのです。
このようなケースではお店は泣き寝入りをするしかないのでしょうか?
利用規約や契約約款に損害賠償について明記する
キャンセル料で補いきれない、大きな損失を補填するには損害賠償が有効です。
損害賠償を請求するためには、利用規約や契約約款に損害賠償についてを明記しておき、事前にお客様に同意を得ている必要があります。
『キャンセル料を超える損害を負った場合、キャンセル料とは別に損害賠償を請求する』というように、キャンセル料とは別に損害賠償を請求できるよう、規約などに明記しておきましょう。
予想外の損失に備え、規約の内容は想定されるあらゆる事態に即した内容でなければなりません。
今一度規約を見直してみましょう。
まとめ:適切なキャンセル料で納得してもらおう
キャンセル料を高く設定しすぎてしまうと、お客様に納得してもらうことができず、払い渋りなどのトラブルに発展する可能性があります。
トラブルはお店の評判を落とすことになり、一件のトラブルが大きな損失につながっていくこともあるのです。
キャンセル料の金額は、お客様に説明を求められたときにちゃんと回答し納得してもらえるような、明確な根拠を元に設定する必要があるといえるでしょう。
キャンセル料には、損害を補うだけでなく、無断キャンセルの抑止効果もあると考えられるため、適切なキャンセル料を正しく請求することは決して悪いことではありません。
適切なキャンセル料を設定し、スムーズな対応が取れるとよいですね。